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【C6トーク】第八回「精進料理とC6」 舩津美江子氏

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 今回のC6トークは、福岡県遠賀郡水巻町で精進料理店「Home made 精進 楓(かえで)」を営む舩津美江子さんです。

 

 東京の寺院の厨房に勤務されていたときに尼僧からの勧めで精進料理の勉強会に参加された舩津さん。素材の旨みを引き出し、無駄なく全部使い切る精進料理の精神に深い感銘を受け、地産地消や食育にもつながる精進料理のエッセンスを取り入れた家庭料理を模索されています。 

 

 今回は舩津さんから、栄養を活かす精進料理の興味深いお話や、地域イベントの取り組みなどをお伺いしました。「Home made 精進 楓」のダイニングからお届けします。

 

 

C6トーク第八回「精進料理とC6」 舩津美江子氏

 

 

 

(尾池、以下―)とても気持ちの良い空間ですね。観葉植物も葉の先まで元気です。精進料理のレストランを始められるときにこちらの空間も設計されたのですか。

 

舩津氏:4年前に両親の介護をきっかけに東京から帰郷したんですが、その際に新しく家を建てることになって。じつはそれ以前から漠然と、何かを始めたいという気持ちがありました。間取りを決めるときに、お料理ももちろんあったんですが、縫い物であるとか、ガーデニングであるとか、人が集まる場がほしかったので、大きめの空間を作ったんです。

 

―ご興味の範囲が広いですね。

 

舩津氏:そうですね(笑)。ガーデニングに集中していた時はガーデニングショップを開きたいと思っていました。

 

―なるほど。そしてその空間がこちらのHome made 精進 楓となったわけですね。

 

舩津氏:はい。在京時は深大寺という天台宗のお寺の厨房で働いていたんです。そこは精進料理を作っていなかったのですが、そこで知り合った尼僧が精進料理を記録に残すための研究会を立ち上げて、その際に私も誘っていただいたのです。それから勉強が始まりました。それが2010年頃で、それから4年ほど精進料理に携わりました。

 

 

 

 

 

【無駄なく活かす精神】

 

舩津氏:そこで感じたのは、一切無駄がないということです。素材の皮も剥かずに使い、剥いたとしてもお味噌汁の具にしたり、傷んでいる部分以外は捨てずに全て使う。そういった精神がこの飽食の時代にとても魅力的でした。普通のお料理でも余った肉じゃがをコロッケにするとか、そういう工夫がありますけれど、精進料理にも余った煮物を天ぷらにするというような工夫がたくさんあります。精進料理は平安時代に僧侶たちが中国から持ち帰ったものですけれど、その頃からそういった精神が根付いていたのだなと思いました。平安時代までの日本料理は味付けはなく、塩と味噌や醤油の原型のようなものをつけて食べていました。そこに精進料理の和え物や煮込み料理がもたらされ、その後の日本料理の発展があったらしいんです。そういった背景も勉強させていただいた時、その根底にある精神をこれからもぜひ継承していきたいなと思ったんです

 

―根底にある精神。私も少しばかり事前に読みかじりまして、干しシイタケの戻し汁。これもむしろ使った方がおいしいと。

 

舩津氏:そうなんです。干しシイタケの戻し汁はグアニル酸という旨味成分がたっぷりなんですよ。軸からもだしがとれるので、お料理中は軸を残しておきます。最終的な盛り付けの際には捨てることになりますが。

 

―そこにある価値をいかに活かし切るか。

 

舩津氏:そうですね。それぞれの食材を最後まで使い切って、味わい切らないと、もったいないなって思います。(笑)

 

 

精進おでん

 

 

―食事に対する感謝の念というのは、つまりおいしくいただく作法なのかもしれませんね。

 

舩津氏:本当にそうだと思います。精進料理の場合、昆布やしいたけでだしをとるんですが、その後に「だしがら」が大量に出るんです。きざんで精進揚げであるとか、佃煮にしたりとか、最初の頃はしていたんですけど。ただ、お店ですから、出る量が多くて、賄えきれなくなって(笑)、最終的には「ごめんなさい、ありがとう」と言って捨てるようにしています。(笑)

 

―まさに根底にある精神ですね(笑)。そういった舩津さんの葛藤と感謝をお伺いして、また深く理解できたような気がします。典座教訓にある「なぜあなたがそれをしなければならないのか」という問いに対して、「私がしなければ意味がない」という答え。僕はこれまで、座禅に対しても精進料理に対しても、むずかしく考えすぎていたような気がします。

 

舩津氏:私にとっても30代まではそれほど身近なものではなかったですね。いまから思い返せば子供の頃、親戚が集まったときなどに母が精進料理のようなものをふるまっていたことはありましたが。意識して体験したのは30代になってからでした。そこには食材の活かし方であるとか、避けるべき食材(五葷(ごくん))であるとか、調理法にも様々な工夫があって、本当に面白くて。でもやはりいつも根底にあったのは、食材に対する感謝の念。命をいただくということでした。

 

 

もちきび+南瓜+甘酒のデザート

 

 

【動物性も大好き】

 

―失礼にあたるかもしれませんが、僕は舩津さんが精進料理家でありながら、動物性のプラセンタにご興味を持たれたというお話を聞いて、これはもう、いつかぜひ舩津さんとお話をさせていただきたい、と思ったんです。しかもその時に、動物性のお食事もされていると聞いて。ますますそう思いました。

 

舩津氏:ありがとうございます(笑)。もともとプラセンタには興味があったんですが、フィルトムさんのお話を聞いて、特に「活性」という部分にとても興味を持ったんです。活性を保っているということは、栄養をそのまま残しているということですよね。私にぴったりだと思ったんです。動物性の食材も毎日いただいてます(笑)。卵だったり、塩鮭、塩サバも好きですし。さつま揚げで煮つけを作ることも多いです。豚バラも大好物です。ただ、量だけは気を付けています。

 

―以前アーユルヴェーダをされている方とお話させていただいたときにも感じたのですが、すごくサイエンスだったんです。「なぜそうなのか」という理由付けが古い伝統的な技法ほどしっかり表現されていて、現代科学から見てもいかがわしさを全く感じない。むしろ新しい。我々が先進性を感じるのは、時代ではなく、蓄積に感じるのだと思います。

 

舩津氏:はい、私も料理って科学だなって思います。昆布のグルタミン酸としいたけのグアニル酸とを合わせればうまくコクを表現できますし、さらにチーズやにんにくのような、こってりしてなおかつ奥が深いような味はどうすれば出るんだろうって、私なりに考えてナッツを砕いてみたり。とくにカシューナッツはほどよくクリーミーになっていいですね。昨年からは酒粕にこっていて、豆乳と合わせるとチーズっぽい風味になります。

 

 

椎茸とそら豆の精進チーズ焼き

 

 

―昨年いただいたお料理の中にグラタンがありましたね。

 

舩津氏:はい、季節野菜の豆腐ホワイトソースグラタンです。豆腐と白味噌とカシューナッツでホワイトソースっぽく仕上げました。ちょうどチーズ風味を模索していた時期で酒粕の前は、カシューナッツをすりつぶして水切りしたお豆腐と白味噌を合えてグラタン風にしていました。コクがありながらもお野菜中心ですから植物繊維が豊富で、腸内も整えてくれます。

 

―なるほど。たしかにお坊さんはみなさん肌がキレイですよね。

 

舩津氏:たしかにそうですね(笑)。お肌きれいな方多いです。

 

 

 

 

【地域でシェアする場】

 

―SNSを拝見すると、精進料理や手芸のイベントの他に、建築のセミナーもされていますね。僕はそれらにきっとなにか共通点があるのではないかと思いまして。

 

舩津氏:そうですか。いえ、実は、そこはあまり(笑)。ただ、私が好きなだけで。食に関するイベントをしていますと、参加者の多くは女性ですから、いろいろとされている方がたくさんいらっしゃって。こぎん刺しとか、テディベアですとか。でも結局は自分が好きなので、ワークショップも一緒に参加して作っています。建築のイベントもやっぱりお知り合いの中にお詳しい方がいらしたので、それで講師をお願いしました。専門家と一般の方々の視点の違いや、評価される部分も違うということなど、非常に面白かったです。

 

―楓さんにはそういった地域のイベントスペースとしての役割もあるんですね。

 

 

 

 

舩津氏:はい。それと水巻町でも人が集まりやすいようなイベントスペースを作る取り組みがありまして、その一つに空き家を有志で改装するDIYプロジェクトというのがあります。それでできたのが水巻スペースで、先日はサルガドの映画の上映会をしました。まだたくさんの人が集まるまでには育っていないですが、地域の有志で床をはったり、壁を塗ったり、そうした気持ちが込められたスペースにしていきたいという思いがあります。

 

―欧米ではローカルエリアでの小さなワークショップがたくさん催されていますが、日本でもそうした取り組みが広がると楽しいですね。

 

舩津氏:そうですね。ここ楓や、あと隣に実家なんですが築120年の古民家がありまして、地域のサロン的なスペースを作って、日常的な情報や気づきを共有できればいいなと思っています。食に関しては、農薬の少ないものや、身体にいいものを求めていらっしゃる方がとても多いので、発酵食品であるとか、微生物が私たちの健康に欠かせないものに変えていってくれている食材のサイクルのようなものもシェアしていけるような、そんな楽しい場をイメージしています。

 

―自分の住むエリアにそうした先進的な場が育つことに僕もわくわくします。これからも応援しています。本日は大変ありがとうございました。とても楽しかったです。

 

舩津氏:こちらこそありがとうございました。私も楽しかったです。

 

そばで一緒に話を聴いてくれた看板犬の木ノ葉ちゃん

 

 

【最新イベント情報】

5月25日~27日  皐月市

福岡県遠賀郡水巻町二西のハ所(はっしょ)神社の鎮守の杜の脇にある築120年の古民家「杜のテラス」で近隣にお住いの3人の作家さんの心温まる手仕事の展示会を行います。

ぜひお立ち寄りください。

▶︎花*DECORER 向坊洋子氏(プリザーブドフラワー、ハーバリウムなど)

▶︎AromaMARIE 大山加代子氏(テディベア)

▶︎ソラハナ 藤田佳子氏(こぎん刺し)

同時開催▶︎香水堂 村井香水(中国茶体験コーナー)(25,26日のみ)

詳細とご参加お申し込みはこちらまで。

https://www.facebook.com/events/169714847046868

 

 

 

舩津美江子氏プロフィール

福岡県遠賀郡出身

東京の寺院の厨房に勤務しているときに尼僧からの勧めで精進料理の勉強会に参加する。

素材の旨みを引き出し、無駄なく全部使い切る精進料理の精神に深い感銘を受け、地産地消や食育にもつながる精進料理のエッセンスを家庭料理に取り入れることを模索している。

某企業のパスタや離乳食のレシピ開発に携わる傍ら、ガーデンデザインナーとしても活躍するなど多彩な経歴を経て、現在はそれらを活かした美味しい精進料理を提案している。

資格/調理師免許/日本家庭園芸普及協会認定グリーンアドバイザー

講演や料理教室の依頼はこちらまで

funatsumieko(at mark)gmail.com

 

 

 

Home made 精進 楓

福岡県遠賀郡水巻町二西4-1-2

Tel: 090-6502-1673

http://funatsumieko.tumblr.com/

 

 

 

 

Photographer: Satoshi Takeshita

 

 

 

【C6トーク】バックナンバー

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“【C6トーク】第八回「精進料理とC6」 舩津美江子氏” への2件のフィードバック

  1.   末光 有子 より:

    インタビューの内容を拝読させていただきました。私自身とても精進料理に興味があります。食の大切さを痛感しています。何か食べ物を買う時、原材料をチェックし、いいものを選ぶように気をつけています。
    ただ農薬がいったいどれくらい使われているのかわからないため、信じて食べるしかないように思えます。
    これからどんどん高齢化していく中、動物性から植物性に変えているべきなのかと常に思ってはいますが..
    船津さんの食に対する姿勢素晴らしいと感心しています。これからのご活躍楽しみにしていますね。

    • tetsuro oike より:

      コメント大変ありがとうございます。精進料理の奥の深さに、私も興味が止まりませんでした。ご指摘の通り、食品も化粧品も、成分表示に現れない残留成分(キャリーオーバー)の問題もあり、なかなか信じ切ることができないですね。それだけに今後ますます「作る方」「携わる方」が見えるようになっていくと思いますし、選びやすくなるとうれしいです。そんな過渡期の中で、舩津さんのお話はとても勉強になりました。楽しんでいただけて大変うれしいです。ありがとうございました。oike

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