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【C6トーク】第九回「造形とC6」 田村麻利子氏

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今回のC6トークは造形作家の田村麻利子さんです。

 

1991年より和紙を主な素材として抽象的なオブジェの創作を開始。福岡を拠点に東京・大阪・韓国・米国にて個展を開催されています。

2006年より “miniature” ミニアチュール というブランド名でアクセサリーのデザインと制作を始め、ギャラリーやデパートでファンを集めていますが、やはりメインは深い思索が込められたオブジェの制作です。

 

普段は覗くことができない創作活動と思索についてお話を伺うチャンスをいただきました。

アトリエのゲストルームからお届けします。

 

 

C6トーク第九回「造形とC6」 田村麻利子氏

 

 

 

尾池(以下、―) いつもC6をご愛用頂き、ありがとうございます。(礼)

 

田村麻利子氏:いえ、こちらこそありがとうございます。C6との出会いは、そんな考え方をするメーカーがあったんだって、とてもおどろきでした。微生物のお話も、本当におもしろいですね。おかげさまでお肌にもすごく合って、以前は気になっていたかさかさ感が無くなりました。それと、たくさん使わなくてもいいんだって、気がつくこともできました。

 

― ありがとうございます。いちばんうれしいご感想です。

 

以前はバシャバシャ使ってたんですよ。化粧水はそれが良いんだと思ってたんですけど、c6ウォーターを使い始めて、なんていうか、考えながら使うようになって(笑)。そうすると、だんだん使う量が減ってきたんです。

 

― 私たちがまさに目指しているところです!さっそくスタッフにも伝えたいと思います。

 

 

 

 

 

■ 内在するもの

 

―「考えながら使うようになった」という表現を伺って、田村さんの物事への姿勢を感じたような気がします。先日の事前のお打ち合わせでも印象に残った言葉がありました。「本物の花ではなく、脳裏に浮かびあがる花のイメージを形にしたい」と。

 

はい。いつも作品を作るとき、自分に内在するものが出てこなければ、何も形にならないし無意味な気がするんです。それがどこから来るのかと考えますと、自分が小さかったときに感じたこと、あるいはもっとずっと前の、DNAにすりこまれていることとか。そういった蓄積がいまも続いているんだと思いますし、それが形になったときに、ぞわっとします。

 

― 遺伝子が伝えるものと、文化、情報が伝えるもの。いわゆるジーンミームですね。

 

はい。そしてさらに意識(マインド)ですね。人生においてはいろいろな事が起きますが、そういう時に意識が変化したり、高まったりします。

たとえば私はずっと以前、子供もうんと小さかった頃に夫と死別したのですが、その時、この子たちの親は私一人になったんだと思いました。

社会的には父親の存在がよほど大きいので、その意味では、これからは私が社会性を担わなければならないと思ったんです。もちろんそれは私自身のためでもあるんですが。

人には誰しも、そういった大きな悩みや葛藤を経た、その蓄積が、イメージの根源にあるんだと思うんです。

 

 

 

 

― 生活の悩みや葛藤に直結しているからこそ、人に響くのですね。

 

そういった蓄積があるから、気が付くことがあるし、その感覚は思い出せないほど小さいころから培われてきたものだと思います。

 

― 田村さんの造形にはよく金属が使われていますが、金属なのに、なにか、なまめかしいですね。いまお話をお伺いして、僕が田村さんの造形から感じているのは生きていく力、生命力なのかなと思いました。

 

ありがとうございます。なまめかしいという言葉はとても嬉しいです。私もなんて言いますか、自分に与えられた環境の中で、とにかく前向きに、でも気負わずに自然な流れに任せて作っています。

 

 

■ 「黒」

 

― 特に引き込まれたのは黒です。赤と黒を組み合わせたアクセサリーがありましたが、とても自然なたたずまいの黒で、率直に安心できる黒だなと思いました。

 

 

新作ピアス / miniature, 2018

 

 

黒、いいですよね。私、ほんとうに黒が好きなんです。

 

― 黒という色については、どうしても子供の頃にお葬式で感じた暗さがつきまとっていましたが、でも先ほどの田村さんのお話を伺って、より身近に感じられるようになった気がします。

 

死も日常ですしね…。

 

― そういえば黒に関する言葉の表現は豊かですね。目が黒いうちに、とか、黒子とか、あと、腹黒いとか(笑)。

 

ほんとですね。(笑)

黒は色んな相反する要素もあります。ポジティブでありながらネガティブなイメージも。

 

― 黒々としていた髪が白髪になっていくのも、とても身近ですし。

 

 

 

 

先日、レストランで食事をしたときに出会ったウェーターさんが外国の方だったんですが、黒い肌がとっても綺麗だったんです。

何とも言えない美しい黒でアクセサリーのモデルになってほしいと思いました。それくらい美しかったです。

 

― その美しさも、やはりそこに生命が介在しているからのような気がしますね。田村さんが黒や造形で特に大事にされていることは何ですか?

 

フォルムと色と素材感のバランスが重要です。

フォルムは計算したデザインではなく、意識を高めて私の内在するものを一気に吐きだす感覚で創ります。

その上に和紙を貼り、色を加えます。

色は墨汁をよく使います。墨汁には通常、天然の膠(にかわ)が入っていますが、私は合成樹脂(PVA)配合のものを選んで使ってます。それを和紙の上に何十回と塗り重ねていきます。

乾いては描き、乾いては描き。そして合成樹脂が少しずつ膜をつくっていきますと、黒の光沢が樹脂なだけにコンテンポラリーな感じになっていくんです。

そして何より和紙の持つ、繊細且つプリミティブな素材感が大好きです。

 

 

 

 

― 安易な解釈になりそうで恐縮ですが、天然のものばかりではなく、工業品ばかりでもなく、その中庸をなすような絶妙なバランス、ということでしょうか。

 

はい、まさしく、そうです。

 

― つまり私たちの生活そのものを表現した黒ですね。

 

そうなんです。そしてそうしたイメージも、自然と内側から湧き出てくるものですから、いわゆるテーマはないんです。先ほどの話と重なりますが、その時感じた吐き出したい言葉を、デッサンというか、書き出しつつ、イメージをもやもやと高めていって、そして一気にうわーっとフォルムにするんです。

作品の完成後はできたものを俯瞰して、あ、今の私はこうなんだと確認し次へ進みます。その繰り返しです。この創作方法が良いのかどうかは、未だに分かりませんけれど。オブジェではいつもそうです。アクセサリーは、また、違いますけど。アクセサリーはデザインですから。でもオブジェはそうやって作ります。

 

― 自分に重ねてばかりだと失礼に当たりそうですが、僕は開発テーマについ優劣をつけてしまう悪い癖があります。あるテーマを見下して、手っ取り早く済ませてしまおうというふうに。ところが、そこから思わぬ気づきを得て、そのおかげで次に進めることがあります。そして自分はなんと浅はかだったのだろうと気づきます。

 

よく分かります。そのおかげで、何かをキャッチできるアンテナを増やすことができたり。そういうことの積み重ねですね。

 

 

「EMBODY」/ 田村麻利子, 2016

 

 

■ 「包」

 

― ぜひ田村さんの次のステップについて聞かせてください。

 

ちょうど、いよいよという感じで始めたところなんですが、和紙を素材にアーティストなりの解釈で新しい「死装束」を作りたいと思っています。実はこのイメージはもう10年以上あたためていたのですが、なかなか自分の中で納得できなくて。最近やっとまた始めることが出来ました。

目指しているのは商品化できるようなものです。これまでのような白装束ではなく、モード系の、ファッション性を持った紙の装束です。5年程前にLAで抽象的な作品を使ったインスタレーションを試みました。

それがこの「包(ほう)」という作品です。

 

 

「包」/ 田村麻利子, 2013

 

 

― きれいです。先ほど、自然と工業の絶妙なバランス、と表現させていただきましたが、それよりも、自然と工業共通の本質が透けて見える、と表現した方がいいのかな、と感じました。

 

ありがとうございます。私たちはみな、包まれて生を受けます。まさに胎盤がそうですが、子宮に包まれて、守られて、産まれてきて、次は産着に包まれる。そして生を終えると再び包まれて胎内に戻る。そうした自分の中で感じたイメージそのままの、包んだようなオブジェを作ってみたんです。

ただこれは実用的ではないので、ちゃんと服に仕上げたくて、いま進めているところです。死生観というのは生きている人のためにあると思うんです。だから生きている人が楽になるような考え方でいいのではないかと。私にとってはそれが胎内回帰なんです。そうした思いに辿り着くまでにずいぶん年月がかかりましたけど(笑)。

そして今、男性用に墨染めの黒で装束を工夫してみようかとか、考えています。ほんとうにいろんな黒がありますよね。薄墨のグレーもありますし。とにかく美しい物を作りたい。

 

― 私たちの生活というのは、白い産着で生まれてから、白をベースに様々な色を経ているわけですね。祝いの赤や、弔いの黒を経て、そして再び白装束で胎内に戻る。

 

ええ。アートとしても受け止めていただきたいですし、常に新しさも感じていただきたい。今、とてもわくわくどきどきしています。

 

― 僕もいま鳥肌立ってます。今日は普段ならとても聞くことができないような内容まで踏み込んでお話いただきまして、本当にありがとうございました。ものすごく楽しかったです。

 

私もとても楽しかったです。ありがとうございました。

今回は取材される方が研究者の方なので、私からもインタビューしたり、その生き方に興味津々です。(笑)

アートと研究への飽くなき挑戦て共通点ありですね~。

 

― はい。油断するとインタビュワーが変わってしまいそうでした(笑)。ありがとうございました。

 

 


「EMBODY」/ 田村麻利子, 2015

 

 

 

 

【イベント情報】

造形作家・さんのアクセサリー作品miniature(ミニアチュール)と、斬新でアーティスティックな山本育也さんの小さな家具とのコラボイベントを大分n406で開催します。この秋、モダンアートなアクセサリーと家具をぜひ感じてください。

 

アーティストによる家具とアクセサリー展

 

日時:10/24(水)~28(日)12:00~18:00(最終日は16:00終了)

作家在廊日:10/24(水)と10/28(日)

会場::n406 / 大分市府内町2-2-1名店ビル406号

(府内五番街を大分銀行赤レンガ館より入ってすぐ。右手のビルの4階です)

参加申し込み/お問い合わせ先:080-3905-4060(n406 中村)

https://www.facebook.com/events/698471800529836/

 

 

 

田村麻利子氏プロフィール

1991年より和紙を主な素材として抽象的なオブジェを創作。福岡を拠点に東京・大阪・韓国・米国にて個展を開催。2006年より  “miniature” ミニアチュール というブランド名でアクセサリーのデザイン及び制作を始める。造形作家としての活動と共にギャラリー・デパート等で展示販売。2013年・米国ロサンゼルスにて米日展。 2016年・ナポリにて日伊展。2017年シドニーにて日豪彫刻展。

■コンテスト

1992年 現代美術今立紙展入選

1993年 現代美術今立紙展入選

2000年 第3回・岡本太郎大賞展入選

■パブリックコレクション

2000年 TONDOSA SUNGBO博物館

2011年   UNAコスタリカ大学

 

 

 

Photographer: Satoshi Takeshita

 

 

 

【C6トーク】バックナンバー

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