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【C6愛のコラム】特別対談:大地千登勢氏「東西百菓之図」

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C6愛のコラムを締めくくるにあたり、最高のゲストをお迎えすることができました。

世界を舞台に壮大な計画を企んでいるアーティスト、大地千登勢氏です。(プロフィール

 

普段は裏方に徹する大地氏の忙しい合間をぬって、話を伺うチャンスをいただきました。

大地氏はアーティストでもあり、キュレーターでもあり、類稀な活動の方法で、世の中を渡り歩いています。あえて言うならば、やはりキュレーター。キュレーターとは、アートが社会に伝えようとすること、または社会に埋もれたアートを、解釈し、伝えるエキスパートです。

 

その大地氏がこの1年半取り組んでいる地域が、九州です。しかもその取り組みは、まさにC6愛のコラムで紹介してきた、アーティストとエンジニアの競演。

 

それが、長崎県平戸で進められている「東西百菓之図」です。約200年前、平戸藩主松浦家35代当主が編纂したお菓子の図鑑。この百菓子之図にインスパイアされて、オランダ在住クリエーターと平戸の菓子職人がお菓子をとおして新しい平戸の文化、お菓子を創り上げます。大地氏はその『東西百菓子之図・Sweet Hirado』のプロデューサーです。

 

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東西百菓之図

 

10月23日には平戸で、その一大発表会が開催されます。さらに東京でも11月1日にSHIBAURA HOUSEで開催されます。

 

大地氏の捉えた意識世界。そこにはエキサイティングな未来が隠されているはずです。

 

しかも、大地氏はC6ユーザーでもあります。

 

C6愛のコラムを締めくくるにふさわしい、興味深いお話を聞いてまいりました。

 

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(小国町森林組合の木家具が美しい研修室にて)

 

 

尾池哲郎(T):大地さんの体力勝負的な飛び回り方がSNSを通じてかなり伝わってくる中で、今回、無茶なお願いでこのような時間を作っていただき恐縮しておりますが、まずはお礼を。本当にありがとうございます。(礼)そして、いつもC6をご愛顧いただき、本当にありがとうございます。(礼)

 

大地千登勢氏(C):いいえ。こちらこそありがとうございます。それにしてもC6愛のコラム、すごいですね~。本当に、面白い。あ、もちろんC6もものすごくいいですよ~(笑)。ほんとうに、もう手放せません。特に旅先。私も、肌、だいぶ変わったって言われますよ。

 

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T:僕も何度も言ってて、また言うとわざとらしく聞こえるかもしれませんが、たしかにお肌、変わりましたよ。ありがとうございます。実は、あの愛のコラム、そもそも、大地さんの東西百菓之図の計画書を読ませていただいたときの感動から始まっているところもあるので、まずはそこのお話しから始めたいと思います。もう、それを直接聞きたかったというのが実は本音なんですよね。個人的には。役得です。

 

C:あら、どの計画書でしたっけ笑 たくさんあって、もうどれがどれなんだか。(笑)

 

T:あれですよ、昨年末だったでしょうか、平戸の歴史から始まって、かなり長い文章なんですが、A4で4~5枚くらいだったでしょうか。最初は、江戸時代の日蘭関係や、長崎街道のお話で、失礼ながら、少々静かな内容で始まって、、大地さんの中でもまだぼんやりとしているのかな、というような、、

 

C:自分でもよく分かってないことを言葉にしようとするから。

 

T:いや、すみません、ただ、そこから文章の中でボルテージがどんどん上がっていくんですね。そして、中盤で最高潮に。それまで専門用語が並んでいたのに、いきなり、「海を越えてモノが動くということは、心が伴わなければ成り立たない。特別な喜びや悲しみ。心は急がない。」と。慌てて下線引きましたよ。ものすごく面白かったです。

 

C:いや、私がへたくそなんですよ。書きながら、発見することも多くて。そして、そのまま、出しちゃって。

 

T:それがいいんだと思いますよ。あの計画書、アートだと思いました。僕ら凡人はそれを書き直しちゃいますから。分かりやすくしようとして。でも、それで伝わらなくなってしまう部分もある。だから大地さんの計画書は面白かった。目の前に大地さんがいるようだった。ぜひこの場でも、大地さんの言葉で、何をなさろうとしているのか、聞いてみたい。特に来月、10月23日に平戸で、「東西百菓之図」の発表会がありますね。一観客として、今からドキドキしています。

 

C:そうですね、、、。やっぱり、まずは、砂糖なんですよね。砂糖、、、。砂糖はあの時代(注:1600年以降に本格化した南蛮貿易の時代)は、ずっときらびやかだったですね。最初薬として日本に輸入された砂糖はこの1600年代に沢山西洋から日本へ輸出されました。このお砂糖は当時、お金以上に価値があり、日本人の生活を大きく変化させます。その砂糖が、九州という地に集まったことにとても興味があるんです。世界の中に九州があって、九州の中に、平戸があり、小国がある。三重構造。誘惑のあるところに人が集まる。

 

T:なるほど。

 

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東西百菓之図プロジェクト風景(平戸))

 

C:九州は海に囲まれその立地から海外との交易が盛んでした。その荷物が波止場に到着し、シュガーロード(長崎街道)ができて。小国も人が行き交う街道筋(日田街道)ですが、港からインプットされたものが、街道を通っていろんな地域へアウトプットされていく。その中心が九州。だからモノは九州にはとどまらない。新陳代謝がはやい。新しいものを吸収しては上方へながして行く。だとすれば、九州には何がある(残る)んでしょう?たしかにモノがあるのかもしれないけど、私はそれじゃないと思う。、、、本質、、、。いま、モノがあふれているでしょう。本質があるから、本質が残ってるから、きれいに見えるし、引き込まれる。圧倒的な美。。。

 

T:圧倒的な本質。

 

C:うん、、そう、、圧倒的な本質。

 

T:あ、いや、すみません。こうやって言い換えるからエンジニアはだめなんですよね(笑)。圧倒的な美。

 

C:いやいや(笑)。うちのボス(注:黒川雅之氏。世界的建築家。)もよく言ってますけど、美が本質なんだと思います。美しいってことは、つまり本質なんだと思います。私が見ているのは。私にとってだけのものなのかもしれないけど、、、

 

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T:いえ。わかります。そういうことですね。僕なんかは、怖くてそういう風に表現できないところがありますけど。いま取り組まれているのが、平戸、東彼杵(長崎県)、小国(熊本県)、そして八重山(沖縄県)。人があつまる九州。その九州のなかに人があつまる場所があり、そこに人が持ち込む美もあれば、醸成される美もあれば、、、

 

C:美が集まってくるところ、美が集まってくる仕掛け。その美は、美術館に集約される美ではなくて。そう。本質。いろんなところでそうした美を動かしたいし、それが楽しいし、見せたいし。それは、私たちが歴史の中で一度は経験している、本質だから、うまく見せることができれば、ぜったい何かが起きると思うんです。

 

T:それは、大地さん自身も、何に引き込まれているのか、はっきりわからないと?

 

C:ふふふ(笑)、たぶん死ぬまで無理かもしれないけど、できるだけ近づきたいというか。なにか、こう、闘っている感じはありますね。かつてできなかったことをやっているということもありますし。尊敬してきた人々の足跡があり、それを掘り起こし、つなぎたい。自然と共に生きてきたし、生きていきたいし、そこに戻りたい、、、戻るというか、、私の育った、愛した場所の周りはすっかり開発されてしまっているけど、いつか経験した心地いいもの、、美しいものを共有したら、また何か始まるんじゃないかと思うんですね。

 

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T:やっぱりお話しうまいですね~(笑)

 

C:そうですかね(笑)

 

T:とてもすーっと入ってきました。みんな、戻りたい原風景がある。ここちよい乱雑さを、一回経験してるから。そこに戻りたいのか、それを再現したいのか。その心地いいものは、人間に組み込まれているかもしれないから、感じるチャンスさえあれば、そこから何かが始まるはず。

 

C:そこが、美しかった、心地よかった、というのが必ずありますよね。そこを信じるのが、私の信念です。

 

T:ありがとうございます。まさに、聞きたかったお話しです。

 

C:私なりにアートを勉強してきたこともあって、その視点で西洋と東洋を比べることが多いんですが、とても乱暴な言い方をするとすれば、(ごめんなさい)西洋のアートは、とにかく人。いやというくらい、人、人、人、なんですね。ところが、東洋のアートは人じゃないんです。人間と自然。だからこそ、西洋と東洋が融合すると、とても面白い。いまも、そのはず。

 

T:それぞれの地域で、本質を、見せることができたら、という方向性ですね。

 

C:そうですね。つまりその土地でその本質をつくったのは、来た人たち。融合した人たち。美しい本質にひかれて、人が来て、それが本質となって、モノが生まれて。九州でいろんな方々に会うと、その本質と共に生きてる。もちろん、大変なこともあって、美しいばかりじゃないけれど、そこに美しい本質があるから、住み続けるし、生きていけるし。その本質が、ふと、外に伝わったときに、人が、わーっと集まってくるし。きっとそういうことだと思う。そういうことがしたい。

 

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T:そうした世界に没頭したのはいつからですか?

 

C:2011年から。学生の時からフランス人のアシスタントバイヤーとして、その後、アートジュエリーの世界に飛び込みました。この世界で10年たったら、全く違う世界が見えてきました。Jewelryという一対一の伝え合いではなくて、自分の信じる美を、できるだけ多くの人に伝えたい、もっと大きなスケールで様々な人が心動く瞬間を表現できたらという想いが強くなりました。それから、もう、なんだかずっと、無我夢中な感じです。(笑)すみません、現状がよく分からない感じで。(笑)

 

T:いえ。がむしゃらな時の方が、実は近づいてますよね。本来の目的に。先ほどまた、ズシーンとくるキーワード出てきました。「本質を作ったのは来た人たち。融合した人たち。」そうですよね。そもそも、どんな地域だって、みんな、「来た人たち」なんですからね。最初は。

 

C:ええ。苦しいことばっかりですけど。もうね~。(笑)

 

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T:いやあ、大地さん。そうですよね。苦しいこと。。僕らは楽しませてもらってばかりで、ほんとうに申し訳ないんですが、だからこそ、今度の「東西百菓之図」も、わくわくします。その圧倒的な美に、再びアーティストとエンジニアが集まり、美しい本質を形にし、それがアウトプットされ、さらに人が集まる。まさにそんなイベントですね。

 

C:はい。ぜひ、お越しください。「東西百菓之図」発表会は、10月23日の『平戸オランダ茶会』の中で開催されます。メインの場所は平戸オランダ商館でして、こちらがお濃茶席になります。この席の床の間は今回参加のオランダのクリエーターの一組、INA-MATTと、四国にてかみこやという紙漉きをやっているオランダ人クリエーターのRogier共作となり、必見です。http://kamikoya-washi.com/studioshokai/profile

その他2箇所、松浦史料博物館の閑雲亭、ここでは薄茶を、眺望亭ではオランダにちなんだランチをお出しします。その名も“Eet smakelijk _トゥ スマーケライクオランダ語の召し上がれです。

この3箇所がひとつになったものが”平戸オランダ茶会“、とても贅沢&ユニークな試みです。

もちろん、この東西百菓之図にて施作された24種類のお菓子をお濃茶、薄茶の席にて発表します!

最後に、この百菓之図を公開することを許可してくださった、松浦家41代目当主であり、鎮信流ご宗家である松浦章氏の大きな心とご協力、ご理解なくしてありえなかったプロジェクトです。本当に感謝しています。とてもユニークなオランダお茶会になるかと思います。

是非、いろんな方にご参加いただけたらと思います。参加希望の方はこちら、オオチまで!

c@candheart.com

宣伝でした。(笑)

 

T:この贅沢なインタビューの時間に限りがあるのが惜しいですが、この続きはぜひ、イベントで体験したいと思います。一気に聞いてしまいまして、駆け足ですみません。でも、やっぱり、楽しかった。読者の方々にも伝わるお話ができたと思います。お忙しい中、貴重な時間を、ほんとうにありがとうございました。

 

C:いえ、こちらこそ。楽しかったです。ありがとうございました。

 

 

 

【イベント情報】

東西百菓之図Sweet Hirado  http://sweethirado.com/

 

1023 10:00-16:00  復元平戸オランダ商館PAKHUIS(パックハウス)

『平戸オランダ茶会』 

http://candheart.com/blog/2016/09/14/future-of-summer-in-hirado-2016/

平戸市大久保町2477  (公財)松浦史料博物館 平戸市鏡川町12

お申込み C@candheart.com

 

11119:00-  SHIBAURA HOUSE  http://www.shibaurahouse.jp/

お申込み C@candheart.com

 

11315:00 – オランダ大使館公使公邸(注:お問合せのみ)

お問合せ C@candheart.com

 

 

【プロフィール】

大地千登勢 Chitose Ohchi http://candheart.com/

キュレーター/アーティスト

大学生時代よりフランス(HP FRANCE)にてフランソワーズ・セーグル・キャロル氏に師事し、バイヤーとして活動。2003年~2007年夏まで、hpgrp GALLERY TOKYO(銀座)の立ち上げから、プロデューサー兼バイヤーとして携わる。2004年、アート・ジュエリーを扱う「O-Jewel」というブランドを立ち上げ、2007年より、建築家の黒川雅之氏が主宰するK&Kにて同ブランドの活動を始める。Barocco 2009, NISHIJIN 2010などの世界のアーティストに参加してもらうコンセプト型アート・ジュエリーの展覧会やプロデュースを手がける。

アートやアートジュエリー、デザインの分野を横断し新しい側面を開拓するため、東洋、西洋の文化を融合し、ユニークな美意識を通して次なる世界を作り出している。2015年より「九州・平戸のお菓子と文化を世界に」というテーマで平戸の老舗の和菓子屋とオランダのクリエーターとプロジェクトがスタート。2月にオランダで第一回目の企画展。20161023日に平戸で「東西百菓之図」発表会を開催。2015年より、C&(チーアンド)を主宰。「美を通じて心が動く瞬間を生み出し、様々な人々に伝えたい。」

 

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“【C6愛のコラム】特別対談:大地千登勢氏「東西百菓之図」” への2件のフィードバック

  1. kyonlee より:

    対談、ワクワクしながら一気に読ませていただきました。
    「心は急がない」。。。小粒でもキラリと眩い輝きを放つ宝石のような言葉ですね。
    FILTOMサンも北九州から眩い輝きを放っていかれる存在ですね。

    • tetsurooike より:

      kyonlee様 いつもコメントありがとうございます!「心は急がない。」アーティストの言葉は、はっと目が覚めますね。本当に仰る通り、「輝きを放つ宝石」のようです。大げさですが、動悸が激しくなり、吐く息が熱を持ちました(笑)。こんな言葉をみなさんと共有できるとうれしいですね。

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