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【C6トーク】第一回「鍛冶師 岡本友紀氏」

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ひたむきに追求し続ける方に会いに行く、C6トーク、始まります。

第一回目のゲストは、広島にアトリエを構える、鍛冶師、岡本友紀氏。

鉄とは思えない、繊細でやさしい作品群は、多くの人を魅了し続けています。

やわらかな造形を生み出すまでに、どんな挑戦があったのでしょう。

そして、岡本さんが開けようとしている未来の扉とは。

たっぷり伺ってきました。

 

The C6 TALK to meet and talk with a person who are trying something new has been started.
The first guest is la forgerone, means a forge woman in French, Yuki Okamoto.
Her atrier is in Hiroshima and she makes her works there which has curious warm atomosphere impressing many people in the world.
How could she progress such new challenges and what technics is she discovering for that?
And what kind of new world is she trying to explore?
Don’t miss a new sense into your eyes from her works.
(ENGLISH version is coming soon.)

 

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1.カフェで感じたこと

2.インスピレーション

3.鉄の色を閉じ込める

4.やわらかい鉄

5.これから

 

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(作品に囲まれたアトリエにて)

 

尾池哲郎(以下、―):初めての感じが全くしないのですが、実はこれが初対面ということで、初めまして(礼)。本日はお忙しい中、時間を割いていただき、ありがとうございます。

 

岡本友紀氏:いえいえ。そうですね。江副さん(江副直樹氏。事業プロデューサー。FILTOMのプロデューサーでもある)からご紹介いただいた後、皆で時々(SNSで)やり取りをしてきましたから。名刺もまだお渡ししていないのに、始まっちゃってますね(笑)。

 

― 名刺!ほんとですね(笑)。今日のメインは岡本さんのお仕事に関する話題なので、すぐにそちらに移りたいと思いますが、実はその前に少しお伺いしたいことが。そもそもC6シリーズをお知りになったきっかけとは?

 

以前、体調を崩したことがあって、プラセンタの話題になったときに、江副さんから、すごいプラセンタ化粧品にかかわっているよと。そうなんですか、ぜひ聞かせてください!って(笑)。私は仕事柄、保湿がすごく必要で。使ってみてよかったら使いたいなと思って使ってみましたら、よかったので。

 

― ありがとうございます(礼)。そして、ご要望の、赤外線対策クリーム、早速試作第一号、仕上がっております。

 

おおっ!やった~!待ちに待ってました!

 

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― 残念ながら、まだ完成ではないのですが、ゴールは見えてます。岡本さんから頂いたご要望以外でも、最近はスマートフォンの低温火傷さえ心配されているのに、赤外線対策クリームは見当たらない。貴重なアイデアいただきました。

 

赤外線の場合、一般女性はライトな対策でいいんだと思いますが、私の場合、バーナー、溶接と、赤外線、紫外線、両方で大変です。目も焼けますし。

 

― 試作品の具合はとてもいいです。赤外線、紫外線の両方同時に対策ができて、しかも肌にやさしいクリーム。もうちょっとで完成です。

 

期待してます。

 

 

1.カフェで感じたこと

 

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― では本題に。ありきたりかもしれませんが、やはり岡本さんの作品を拝見していると、キーワードはこれしかない、「やわらかさ」、ですが。(傍の作品を指しながら)この色も鉄なのにやわらかく見えます。仕上がり直後の色ですか?

 

いえ。直後はもうちょっと青っぽいです。いまは、グリーンかかって見えると思いますが。直後は、もっとやわらかい色してますね。

 

― そして、岡本友紀さんのものづくりは、行きつけのカフェから始まったとお聞きしました。カフェでどんなことを感じられたのか、とても興味があります。

 

最初は、ただ、かわいいな、と思ったのがはじまりですね。1年くらい通って、マスターとも仲良くなって、なんとなく、これどこで購入されたんですか?と聞いたら「わしが作ったんじゃ」と。その時の衝撃がまずすごかったですね。聞いた瞬間、弟子入り志願を。

 

― 皆さんから言われていると思いますが、そこでの飛躍がすごいですよね(笑)。

 

そうですね(笑)。ぽんっと行ってますからね。

 

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― 逆に言えば、それだけインパクトが大きかったと。

 

大きかったです。それからもう20年経つんですが。そう、20年・・・。20年経つんですねぇ(笑)。

 

― 速いですよね、時間の経つのは。でも、その時間の中で、迷われた時期もあるということも、お聞きしてまして・・。

 

順風満帆だったらよかったんですが、やはりそうではなくて、途中で一度悩んで、2年間くらいあきらめてるんですよ。

 

― そのあきらめていた時期というのは、カフェで感じたイメージをうまく表現できなかったことで?

 

う~ん、いえ、あきらめなければならなかった状況だったというのと、あきらめなければならないと思い込んでたというのと。技術的なことも、それはそれでありましたけど、要するに、努力が足りてなかったと(笑)。でも、再度弟子入りして師匠が亡くなる前の年くらいからでしょうか、徐々に自分でものを作り始めて。そうすると、分かってくるんです。努力が足りてなかったと。その前は、できて楽しい、というだけだったですけど。

 

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― そして、岡本さんのものづくりが再び始まり、いまに至るわけですが、初期のものづくりと、今のものづくりで目指しているイメージに違いはありますか?

 

いえ、あまり変わらないですね。ここにも初期の作品がたくさんありますが、あそこのランプもそうですが、イメージは変わっていないです。目指そうとするものは変わっていると思いますけど、ただ、好みは常に一定していますから。ずーっと子供のころから。根底にある好みが。いいものがあっても、それは変わらないかな。たとえばイームズのイスを見て、これいいな、ともちろん思いますけど、自分で作りたいとは思わないですね。作りたくなる好みと、好きになる気持ちは違うなと、作りながら思います。だから、根底にある好みは変わらないんですけど、こういうものを作りたいという、目指したいものは常に変わっています。

 

― この2週間ほど、鉄の加工というものを読みかじったんですが、動画などを見て感じるのは、灼熱している鉄の硬さでした。

 

はい、硬いですよ。もちろん十分細ければ、それなりに柔らかいですけど。師匠の仕事を見ているときに、くるくるくると曲げていくんですね。飴細工みたいに。そう見えるんですよ。それを自分でやってみると、曲がんないんですよね、これが(笑)。赤いのに。特に太くなると、曲がらないし、伸びないし。そして赤さも違いますね。私たちが感じる、加工にちょうど良い赤さというのは、金色に近いです。そこを超えると、パチパチ火花が出始めます。そうすると、どこかが溶け始めてるので、よろしくない。表面が汚くなるので。でも、ある程度柔らかくしないと、体にとっても負担なので、その見極めが大事ですね。やっぱり、きれいに見える段階でとめたい。その、きれいに作りたいと感じるイメージも徐々に変わっていますけど。

 

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― そのきれいに感じるイメージというのは、仕上げる最中にわかるものなんですか?

 

わかりますね。そこで止めます。作っている最中は近視眼的になるので、トントン(表面を)たたきながら、どんどん仮溶接でつけて(造形して)いきます。そしてあとで取っていったりもします。これは多すぎとか、きれいじゃないなとか。そしてきれいに感じるバランスが、自分の好みのバランス感覚ですね。

 

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2.インスピレーション

 

― まさにその、岡本さんのバランス感覚についてお伺いしたいです。自然からインスピレーションを得ることがある、と仰っていましたね。自然から受けるインスピレーションと、形にしたいイメージと、鉄という素材。それらが相まっているから、私たちは楽しくなるのだと感じます。もちろん、蔦(アイビー)が鉄で表現されているのはよく見かけますが、ここまで徹底して植物の世界が鉄で表現されているというのが。

 

あ、そうですね。でも実は、意識したことはないんですよ(笑)。でも皆さんの方からそう言っていただくことが多いですね。

 

― なるほど。自然からインスピレーションを受けているとしても、ベースは岡本さんの根底にある好みであって、植物を目指しているわけではないと。

 

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はい。私、実は花は作っていないんですよ。ほとんど。以前アジサイは作ったかな。ご依頼を受けて作ることはありますが。でも作品としてはお花そのものはほとんど作らない。それなのに、花そのものとか、甘いものとか、そういうものを作っていると言うイメージがあったのかお花とか作ってると言われることがありました。あれ?本当に私の作品、見ていただけているのかな?って(笑)。私、お花作ってないよ?って思うんですけど。
(2016年夏に印象的なお花をモチーフにしたご依頼作品を作っていますが、それ以前にお客様から伝えられた事に対してのお話です)

 

― あ、その方々の気持ち、よくわかります。

 

はい、そうなんです。よくわかるんです。でも、花だけではなくて、実在している植物を模すこと自体も、しないようにしてるんです。イメージがそこで固まってしまうから。自然なものって、もうきれいじゃないですか。だから、いくら鉄で作っても、それは出せない。私がしたいことは、花を作ることでも、葉っぱを作ることでもないので。美しいとは思いますけどね。(そばの作品を指して)この葉も、ある植物の葉をイメージして作ったわけではないです。たたきながら、作っていく造形があんな美しい形になるといいな、と感じることはありますが。人それぞれ、形にしたいものは違うから。

自分で作っているものですが、言われるまで気が付かないところもありますね(笑)。

 

― 岡本さんは、ご自身の内面から湧き上がってくるイメージを正直に受け止めて、表現しようとする。それを受け手が受け止めて、言葉にしたときに、岡本さんが何かに気づかれる。これもとても面白い対話ですね。SNSなど拝見していると、岡本さんを見ている方々は、本当に、楽しんでいるなと感じます。でも、そんな対話が可能なほどのクオリティを保つというのも、たいへんなことだなと思います。

 

そうです。クオリティの低いものを見ると、イラっとします(笑)。

 

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― なるほど。納得いかずに叩きつけることも?(笑)

 

あはは。それはないですけど(笑)。技術が上達してくると、初期の自分の作品などは、稚拙に見えることはあっても、味わいもあるんです。でも、慣れで作ると、味わいも減りますね。

 

― 岡本さんが実際にものづくりをされるときのプロセスですが、インスピレーションをつかもうとか、イメージを形にしようと悩まれる時、鉄の素材は最初から前提としてあるんですか。

 

あります。鉄の素材ありきです。そして、鉄にはない素材感を、鉄につけたいなと思っています。いつも。テクスチャーではなく、印象になるんですけど。浮遊感、透明感、繊細さ。鉄にはないものですね。それを表現できたらいいなと。昔はそんなこと思わなかったんです。とにかく、感じたものをきれいに作りたいな、とか。いまは、それに加えて、浮遊感、透明感も表現できたらいいなと。

 

― 浮遊感って、いい言葉ですね。鉄で浮遊感。

 

表現したい浮遊感というのは、吊ったり、ゆらゆら揺らしたりする浮遊感ではないですし。鉄だけで浮遊感というのは無理なので。何かと組み合わせなければ。硝子なのか、樹脂なのか。それで何かを感じられる。弾けるような感じでもいいんですね。ぽん、という。そこにあるだけで、動きが見られたらいいのかなと。そして透明感の方は、いわゆる、通過、することです。でも、鉄と鉄の間の隙間は、空間であって、透明感ではない。そこを、透明感と感じることができるように、どうすればいいのか。鉄に対する透明感ではなくて、全体としての。それが、最近のトライですね。

 

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3.鉄の色を閉じ込める

 

― そして、そうした高度な表現に挑戦する中で、加工の技術であるとか、造形のセンスなどに加えて、色に対する表現も、重要なわけですよね。特に、ウェブサイトでも仰っていますね。鉄の色を閉じ込めたいと。

 

そうなんです。鉄の色って変わっていくんですよね。たとえばこれも、今はもう黒っぽい、艶っぽい色ですね。でも、仕上げ直後は違うんです。もっと青いというか、もっと鮮やかな、きれいな青が、時間がたつと、群青色を通り越して、違う色になってしまうので。その上に、クリア(透明塗装)を吹くと、塗った瞬間もう違うんですよね。あの、仕上げ直後の色が、そのまま残せるようなクリアってないかなと思います。

 

― 仕上げ直後の色を残すクリア塗装。なるほど。やっぱり、この色、ここで止めたい、という瞬間があるんですね。

 

はい。ありますね。焼いた直後の、塗装する直前ですが、掃除を済ませた後。掃除というのが、スパッタとか取り除く行程がいろいろあるんですが、全部済ませて、私の場合黒皮仕上げにしますから、一回全部焼くんですね。焼きなますんですが、全体をうっすら。その色が、好きなんです。その時の色ですね、好きなのは。そこにクリアを吹くと、締まった色になるんです。ぎゅっと。この(真っ黒い)色も、これはこれで、好きなんですけど。でも、あの色は、私しか見られない。お客様、誰一人にも、見せることができない。だから、閉じ込められたらいいなと、思います。

 

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― そんな、様々な岡本さんの表現方法。たたき方であったり、造形であったり、そして今お伺いした色であったり。少しマニアックな話になりますが、色の中で、岡本さんが入れ込まれているその黒皮、黒錆が、実は鉄の化合物ではもっとも複雑な構造を持ってるんですから、面白いですね。

 

へー!そうなんですね!

 

― そうなんですよ。黒錆は高校化学で、四酸化三鉄(Fe3O4)と習いますが、大学では、四酸化三鉄と考えるな、と言われます。面白いことに、この安定した黒皮、黒錆は、赤さびである三酸化二鉄(Fe2O3)と、黒い酸化鉄(FeO)が複雑に絡み合った結果できる特殊な化合物なんです。だから大学では、ちゃんと、そこに、三酸化二鉄(Fe2O3)と酸化鉄(FeO)があるとイメージしろと。

 

おもしろい。

 

― さらに言えば、たとえば、赤、黄、茶、黒、までの色が酸化鉄だというのは素直に理解できますが、青まで鉄で表現できるというのは、いまだに驚きです。

 

(黒皮の一部を指して)ここ、青いですよ。

 

― あ、ほんとですね。岡本さんが、青っぽい黒と表現されていた、あの色ですね。

 

そうです。たとえばここも。ここは黒皮がはがれて、地金が出たところを熱したんですが、こんな色になります。微妙な差ですけど。

 

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4.やわらかい鉄

 

― そして、ここから先は、どうお伺いすればいいのか、わからないんですが、でも、やっぱり大事なところなので聞いてみたくて。ただ、稚拙な聞き方になりそうで恐縮しますが、まさに最初からテーマになっている、やわらかさを、岡本さんがどうやって表現されようとしているのか。その、たたき方、造形、色、という、それぞれ培ってきた技術で、この先、目指したいやわらかさというか、こんなこと、言葉にはなかなかできないと思うのですが・・・、岡本さんの、目指したい、柔らかい作品、具体的なというか、そのイメージというものはありますか?(実際にはもっと、訳が分からない聞き方でした)

 

そうですね。やわらかさっていうのは、意識だと思うんです。やわらかいものを触った経験は誰でもあるじゃないですか。肌も、こう、柔らかいですよね。触ったら、やわらかいんじゃないかという、感覚、意識、を出したいなと思います。

 

― なるほど。ですね。結局、私たちも、岡本さんの作品を見ると、まず、触りたくなりますから。

 

やわらかそうに見えて、触ると、やっぱり、硬いんだね、と。女性が作ってるから、よく言われるんでしょうけどね(笑)。でも、男性が作っても、本当はやわらかくなるはずなんですよ。ただ、意識なんです。絶対に。私、いつも思うんです。意識の問題なんだと思います。男性が柔らかく見えるように作ったとしても、どこかの細工の一部で、私のほうが、柔らかく見えるように感じられているんです。それこそ、好みの問題になりますが。やわらかく見えるように、繊細に見えるように、細かな部分まで、細工の方法を考えてはいますが。その細工のひとひねりがあるか無いかで、感じ方が随分変わるんじゃないかと思います。そんな、触りたいな、やわらかそうだな、というものを作ってみたいなと思います。

 

― ありがとうございます。私の雑な質問の仕方に、的確に答えていただき、すみません。そこが聞きたかったんです(礼)。

 

あはは(笑)。そうなんですね。だから、結局、意識なんだと思います。視覚と記憶を、そちらに持っていく。そして、時には大きなものも作るんですが、それについても、例えば、引いて写真にとると、柔らかさを感じていただけるんです。それは、やっぱり、細部まで柔らかく作ろうとしているから。太いまま曲がってても、柔らかくは見えないです。大きくても、細部まで、柔らかく見えるように、細工をするんです。やわらかいな、という記憶は、細部についての記憶なんだと思うんです。

 

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― なるほど。すごく面白いです。たとえば、われわれも、表面の粗さで似たお話を聞くことがあります。これは仮説ですが、視覚から入る情報というものは、私たち自身が認知している情報よりも、実は多いんじゃないかと。同じように見える表面も、柔らかく感じたり、硬そうに見えたり。目の解像度は、認知できている解像度よりも、もっと細かいんじゃないかと。

 

そうですね。私もそう思います。

 

― もしかして、岡本さんも、そこまで細かい細工をする意識で?

 

いや、そこまでしているかどうかはわかりません(笑)。無意識でしている部分もあるので。でも、やっぱり、私が意識している以上に、違いを言われることが多いので。インテリアをしている方々から指摘されたりとか。ヨーロッパで鉄の細工を見てきた方々から、初めて見ると言って頂けたり。そんな時、私自身の理解では、やはり、細部だと。もちろん、同じように、細部にこだわっている方は多いですけど、そのこだわり方も、人それぞれですし。時には、この柔らかさは私には出せないな、と感じることもありますし。でも、そんな、柔らかさの方向性の違いを感じるからこそ、やはり、細部の違いなんだなと思います。

 

― たたく作業は、いわゆる、大きな作業になるかと思いますが、その、ストレートな質問になってしまいますが、コントロールできるものなんですか?

 

はい。コントロールします。しなければ、細工できませんから。ハンマー二つでコントロールします。もちろん、大ハンマーがありますが、それとは別に、ハンマーが二つあります。それで、ほぼ、コントロールできます。そして、表面的なものと、造形の両方で、自分の中でOKといえるレベルがあるんです。それ以上すると、行き過ぎになってしまうんです。そのどこで止めるのか、というバランスもあります。いつも思うんですが、やり過ぎ感のあるものは、いつも、よくないなと。

 

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― 止める、というお話、刀鍛冶でもよく聞きますよね。刀鍛冶は焼きしめるのに水を使いますが、岡本さんは?

 

使いません。使うと、やっぱり硬くなるから。もちろん、冷やすのに使うことはありますが、その場合はまた焼きます。

 

  

5.これから

 

― そして、最後にこれからのお話ですが、海外での個展を一つの目標とされていると拝見しました。実は僕自身、海外指向が強い方でして。やはり、外があると、外にもっていきたくなりますね。

 

外に持って行ったほうが、自分にとってプラスになると思うんです。

 

― 特に欧州でということですが、やはり欧州は競争相手が多いからですか?刺激が多いですか?

 

私の作品は、洋鍛冶の部類なので。インテリアとか門扉とか。競争相手が多い部類だと思います。ヨーロッパに行くと、鉄の細工の方に目が行きますけど。でも、同じ部類の作品はあまり見ないです。有名な方の、本になっているような大先輩の作品は見ますけど。それ以外は見ないです。入れるとそれに影響されてしまうので。

 

― これなら海外で勝負できるという、これから先のイメージについてはいかがですか?

 

私はやっぱり日本人なので、日本の方々からは洋風な印象を持たれますが、海外から見るとやっぱり和。黒皮にこだわっているのも、そこです。私の作品は形が特徴的で、そこにはやはり、和を意識してるんです。墨絵のような。オリエンタルというよりも、やはり、和。結局私のイメージなんですけど。ヨーロッパのデザイン界の友人が、これは見たことがないと言ってくれるのは、そこを意識してるからじゃないかなと。

 

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― その、和と洋と。いま、岡本さんのものづくりに表れているものを、もっと高めていきたいと。

 

そうですね。なんといったらいいのか、わかりませんが・・・。いろいろと幅を持たせて。和と洋の融合というか。融合とはちょっと違うな。なんて言っていいか・・・。目から入る印象を、もっと高めていきたいと思います。ハイ笑。

 

― やった。すばらしい。いや、だいたいがですね、言葉にしてくださいとお願いすること自体が失礼な話であって(笑)。「目から入る印象を、もっと高めたい」、という言葉は、これまでのお話の流れをとても象徴してます。ありがとうございます(礼)。私の拙い質問に、分かりやすい表現で応えていただいて、しかも最後のそのフレーズ。岡本さんの仕事に対する姿勢があっての言葉だと思います。1時間半、本当にありがとうございました。

 

いえ、こちらこそ、ありがとうございました。楽しかったです。あ、最後のフレーズ、私もメモしていいですか?(笑)

 

― それすごく分かります(笑)。どうぞ。

 

 

Profile: la forgerone 岡本友紀

http://forgerone.com

パリで街に溶け込む鉄製品の美しさに惹かれ、鉄装飾に興味を持ち始める。

広島のカフェで出会った鉄製シャンデリアに一目惚れをし作者の鍛冶職人に弟子入りを志願。

証券会社の営業担当から一転、鍛冶の世界へ。故師匠の元で10年間修行し、独立。

広島のアトリエを拠点にオーダーメイドで照明などのインテリアから大型のオブジェまで

様々な作品を手掛け、国内外で活動中。

 

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Photographer: 竹下聡

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