“まだこの世にない「常在菌を育てるリップ」のアイデアを、おもしろいこと専門のコヤナギユウ氏に投げ、ビジネストークしてみました。”
今回のC6トークは趣が変わります。
コヤナギユウさんは、イラストレーター、デザイナー、ライター、海外を渡り歩くカメラマンと多くの肩書をお持ちです。ご本人にその意向を伺うと、
「おもしろいことを追い求めてるだけなんです。(笑)」
ならば、C6トークもおもしろいことをテーマにしなければと、事前にメッセンジャーで打ち合わせをしました。
そして俎上に乗ったアイデアは、「唇の常在菌を育てるリップスティック」。
FILTOMがプラセンタの次に見据えるプレバイオティクス(常在菌ケア)です。
コンセプトワークは済み、残るはFILTOMとコヤナギユウでどこまで具現化できるのか。
つまり、どれだけお金に換えることができるのか、が今回のC6トークのテーマです。
「お金とは、夢を叶える便利なチケット。」(コヤナギユウ)
1時間半で商品イメージを作り上げたC6トークを、コヤナギユウ氏の切れ味鋭い視点と共にお楽しみください。今回は竹下社長も参戦。
【C6トーク】第四回「クリエイターとC6」 コヤナギユウ氏(前編)
(コヤナギユウ氏オフィスにて)
■ まだこの世にない、常在菌を育てるリップスティック
(尾池、以下―)行き当たりばったりのC6トークにお付き合いいただき、ありがとうございます。そして、C6のご愛用と、なによりクラウドファンドへのご参加も、ありがとうございました。(礼)
(コヤナギユウ)いえいえ。クラウドファンドは、ちょうど株投資に興味を持った時に情報をいただいたので。あ、これは乗るしかないなと思いました。(笑) C6は確かにいいです。FILTOMの本質を追う姿勢をとてもよく感じます。ただ、栄養成分は確かに肌の奥にある“工場”に届いている感じがするのですが、工場が生産を再開しても、表面にある素肌(表皮)、いわば“市場”にそれを受けとめる準備ができていないなと。せっかくいい商品が届いているのに市場が乾いていて活かせずにいるというか。だから冬季なんかはC6の後に、保湿クリームを塗るときもあるんです。
―なるほど。肌工場と表皮マーケット。さすが視点が面白いです。コヤナギさん、時々グラムクリーム注文されてたのは、そういったご感想からだったんですね。参考になります。
今回の上京はどんな目的で?
―コヤナギさんのC6トーク取材が目的に決まってるじゃないですか。
えー! 私だけのために? 私が北九州に行ったほうがコスパよかったんじゃないですか? 私が社長だったら怒ってますよ。なんか組み合わせろって。(笑)
―竹下社長も一緒に来ちゃってますから。(笑) 今回のC6トーク、せっかくコヤナギさんと対談をするのだから、コヤナギさんの部屋からコヤナギさんらしさを引き出さなければと思いまして。そして内容は「おもしろいこと」以外にないと思いましたが、そのために先々週から時間をいただき、すみません。
おもしろいことですか。漠然としていて何について話すのか、イメージがよく分からなかったんですけど。(笑)
―でもおかげで、常在菌を育てるリップスティックのアイデア出てきました。そしてこれは、先ほどの表皮マーケットの活性化にもつながる話ですよね。インフラである皮膚細胞が元気になっても、そこに住む微生物たちが元気にならなければ、意味がない。資料もしっかり作り込みましたよ。もちろん問題はこれからですが。
【常在菌を育てるリップスティックについて】私たちの肌には1兆個もの微生物が住んでいます。肌荒れの主な原因は、この微生物のバランス(バイオーム)が崩れること。乳酸菌が腸を整えてくれるのも、バイオームを整えてくれるから。ならば、唇のバイオームを整えるリップスティックを作れば、魅力的な唇が作れるのではないか。コヤナギユウ氏とのメッセンジャーは一気に燃え上がり、コンセプトワークを終えました。(詳しくはこちら【特許出願済】)
面白いと思いました。でも、香りとか、塗り心地とか、大丈夫ですか? エンジニアの視点でOKでも、そこが不十分だと売れないですよ。
―そこは大丈夫です。微生物を育成する栄養成分は、いずれも特別な材料ではなく、必要なのはそのバランスですから。不快なにおいや塗り心地にはならないです。
あの、微生物って、増えればいいものなんですか? 増えすぎたときに問題にはならないですか? ビタミンCみたいにそれ以上取っても排泄されてしまって実は意味がない、とか。
―そもそも常在菌は「優勢を保つ」必要があります。常に増やして優勢にしておくことで黄色ブドウ球菌などの侵入を防いでいるので、そういう面では増えた場合のリスクは大きくないですし、要はバランスです。
■ 三者三様の価格設定とその根拠
―ではまずコストから。というか、むしろ販売価格ですね。まずはここが一番不安です。どれくらいをイメージしてますか?
薬局で1200円くらいのリップは売ってますから、それくらいでもいいのではと思います。
―ええっ。いきなり強気ですね。僕は300~500円くらいをイメージしてました。実は。
(竹下社長兼カメラマン)もうちょっと上かな。
―そんなこと言って。僕と近い金額言いそう。(笑)
(竹下)え~っと、3000円。FILTOMらしく、それくらい価値のあるもの作りましょう。(笑)コストに遠慮して妥協したものを1000円ぐらいで作っても、他との差別化は出来ないですし。
そうですね、3000円は珍しくないですよ。もちろん大手はブランドやパッケージも含めてその価格なんでしょうけど。女性は化粧品を所有する喜びも含めて買っていますからね。たとえば、本当はリップグロスなんですけど、夜つけて眠ると翌朝プルプル感が実感できるものがあって、いまもすごく売れてます。実感が伴えば、3000円は全然高くないです。私が使っているこのニュージーランドのアイクリームも香りがすごくいいんですが、同じような価格帯ですよ。
―二人ともすごいなあ。(笑)
(竹下)300円だと量の売り方から不安になるけれど、3000円ならコスト側の不安はない。5000円でもいいくらい。
フラッグシップ的な位置づけでもいいと思います。量が売れなくても、技術力を示すような結果が残せるなら存在意義がありますし、一定数に支持を得ると思います。
―では、3000円で。コストと価格は終わりましたね。
もう?(笑)
―1時間半で商品イメージ作るのが今回のテーマです。落としどころはそこですから。次は機能性の表現。竹下社長に質問ですが、「バイオーム(微生物バランス)を整える」とは薬事法的にどうでしょうか。僕はオーケーだと思います。化粧品は、唇のキメを整えるという表現は許されてます。今回は皮膚のさらに上の微生物の話し。
(竹下)う~ん。とはいえ、直接的な働きかけは、やっぱりNGかな。
(コヤナギ)「微生物のバランスを手に入れる」はどうですか?
(竹下)「微生物のバランスを手に入れたい方におススメ」が第一案かな。
―いただきました。第一案はそれで十分だと思います。ということで、コスト、表現方法と片付いたので、あとは販路だけですね?
早い。(笑)
―あと1時間しかありません。
■ おもしろさとお金のバランス
いまFILTOMはどんな販路が?
―現状は直販サイトに、FILTOMマーケティング、それにご協力いただいている販社。ただ、今回のリップクリームは、そのルートは期待するほど機能はしないと思うので、もっと他に新しいルートと方法論がいると思います。
(竹下)うん。
具体的にはどんなイメージされてますか?
―今回のリップクリームはスタートダッシュが大事だと思うんです。たとえば、爆発的な発信力のメディアに載せることができればと。特にこの東京で。
(笑)! なんですか、そのユートピアみたいな発想は? 「爆発的な発信力のメディア」の人につながるか、という私に対する期待の質問でしょうか? それならNOですよ。そんなに都合よくはいかないです。
―あ、いや。(笑) 言い方変えます。このアイデアにかけてみたいという方が現れるかどうかにかかってるんじゃないかなと。それくらいのアイデアに育てなければなりませんし、育つ素質はあります。僕らがいつも気にするのは、この“おもしろいこと”は儲かるのかという点です。
分かります。特に日本人の方はお金を稼ぐことに嫌悪感を感じる人もいますが、わたしはお金を「夢を叶えるためのチケット」だと思っているんですよ。1000円ならちょっといいランチ、1万円なら贅沢なマッサージなど夢が叶えられるじゃないですか。それと同等の価値を持ったものをつくって、その人の「夢」になるだけのものをつくらなければ、未完成だと思うんですよね。
―なるほど。最大の課題はまさに価格設定だということですね。機能性はある程度出てくるという自信もあるので、あとはそれに応じた価格設定。そして、3000円という結論。これはうれしかったです。
冬場はほんとに困るので、お金で解決できるのであればいくらでも出したいくらいです。やっぱり機能性が一番大事じゃないですか? 時々、上唇と肌の境目(山の部分)が荒れることがありますよね。あれってなぜなんでしょう?
―やはり微生物バランスでしょうね。唇とその隣の肌は住んでる微生物違うと思いますから。境目で何か起きてるのか。
ああ、たぶん、勢力争いがうまくいってないんじゃないですか?(笑) こっちの国と、こっちの国で、すっごく似てるのにけんかしまくって、陣地を荒らしまくってるんじゃないですか?(笑)
―勢力争いがうまくいってないって、すごく的確な表現ですよ。微生物の共生って、依存もするし、敵対もするし。まさに勢力争いのバランス。それを助ける常在菌を育てるリップの役割、やはり小さくなさそうです。販路と人へのつながりについては、期待できるということにしておきましょう。
■ 最後に確認したいこと「目の前のドア」
―そして最後に一つお伺いしたいことが。いま話してきた商品開発と販売ですが、これまでに似たような失敗例とか、成功例とか、ご経験があれば、お聞かせいただきたいなと。
えーと、ちょっと質問の意味がよく分からないんですけど。経験?
―その、もちろん我々もそうですけど、こういった取り組みというのは失敗例の方が多いわけですよね。最初は大いに盛り上がるんですけど、なかなか思い通りには進まずに、こんなはずじゃなかったという…
もしかしてやる・やらないの話をしていますか? それならば、なにをいまさらと。(笑) そこに迷いがあれば、ここまで来ていただいていないですよね。やってみなければ分からないですし、失敗しなければ成功もしません。
―いや、これは、失礼しました。共通認識については苦い経験が多いので、つい変な質問しちゃいましたけど、コヤナギさんの経歴は「i live you!」で十分見てたはずなのに愚問でした。いやあ、どうも。(苦笑) いまの「失敗しなければ成功もしない。」という言葉で十分です。
(竹下)(笑)
とにかく目の前にまだこの世にない「常在菌を育てるリップスティック」というドアがあるんですから開けてみませんか。
―ですね。お互い腕を掴みあって。恐る恐る。
そしてとりあえずドアの向こうを見てみましょう。何があるのか。ドアを見つけてしまったら開けるしかないんです。(笑) それからのことは、それからということで。
―さすがです。なんとぴったり1時間半ですよ。今回のC6トークの結論、いただきました。「ドアを見つけてしまったら開けるしかない。」コヤナギさんらしい表現とスピード感。あとは帰ってからのデータ採取と特許出願。そしてお楽しみの試作ですね。おもしろくなりそうです。今日のところは一旦、どうもありがとうございました。(礼)
こちらこそ。ありがとうございました。お疲れさまでした。(笑)
(後編へつづく)
コヤナギユウ http://koyanagiyu.com/
デザイナー、イラストレーター、エディター。yours-store代表、東京ナイロンガールズ編集長。77年新潟生まれ。生クリームとマヨネーズが苦手で英語が不自由。ハイボールと野菜と肉が好きな、神社検定3級、世界成都パンダ大使セミファイナリスト、カナダ観光局オーロラ観光大使。
「i live you! -KoyanagiYu.com-(一冊まるごと“コヤナギユウ”な誰得ブック!)」
「給食のオバサンだった私が下北沢で自分の店を持ちつつデザイナーで社長をやれている理由」
twitter. @KoyanagiYu
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Photographer: 竹下聡
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