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【Mediamatic記事】Architecture of Crisis(危機の構造)和訳

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Architecture of Crisis(危機の構造)

生物模倣で水問題解決へ、竹下社長と尾池博士の挑戦

 

 Original article: Mediamatic 6th May 2016 by Emma Panini

 

トイレはwet(水洗)で、掃除はdryだという概念は不変でしょうか?

 

地球上の多くの地域では、飲料水が手に入りません。同時に、欧米諸国で使用される水洗トイレからは、大量の汚染水が海に流出しています。多くの企業は水の浄化技術開発に投資していますが、ESAとNASAによる宇宙での生活を支えるバイオ再生システムに関するMelissa計画では、飲料水や、食品、酸素を作り出すフィルター技術の実験が進んでいます。もし私たちがこの地球上で、大量の尿や排泄物を水で流し続けるとすれば、それはこの宇宙を漂う宇宙船にとって、生命を脅かすほどの危険性を持ちます。

 

Lab picture

FILTOMを設立した尾池博士と竹下社長へのインタビュー

彼らは特殊なフィルターである「PD膜分離技術」の開発に取り組んでいます。PD膜分離技術は、腎臓のシステムから着想を得たもので、汚染水の浄化や、海水の淡水化を目的としています。現時点ではまだ尿をリサイクルできるまでには至っていませんが、彼らはこういいます。「その課題も将来は乗り越えることができるし、そのつもりです。」、と。
私たちは、現在までに分かっている水浄化技術の貴重な発見について聞くことができました。

 

O.T: 私たちの取り組んでいるPD膜分離技術開発は、腎臓を模倣した膜分離である点で、世界で最も新しい挑戦の一つであると言えます。膜分離には3種類の手法があります。一つは標準的な「デッドエンド式」で、二つ目はデッドエンド式の目詰まりを改良した「クロスフロー式」分離法です。3つ目は、「高度クロスフロー式」と呼ばれるもので、流速、圧力、ろ過速度を調節するものです。

私たちのPD膜分離法は、この3つ目の高度クロスフロー式膜分離法の一つです。

現在、私たちは二つの方法で飲料水を製造することができます。RO膜分離法(デッドエンド式)と、蒸留法です。しかしどちらも大きなエネルギーを消費します。そのため、腎臓が解決策の一つになりえると考える研究者がいます。

私たちの体内では腎臓が一日に200Lもの血液を浄化し、尿が生産されていますが、この大量の尿からイオンと198Lもの水を取り戻しています。RO膜分離法では水の浄化に2000kPa以上という圧力が必要ですが、腎臓のシステムでは、5kPaというわずかな圧力しか必要ありません。持続可能性のためには、この腎臓のような高効率なシステムが必要なのです。多くの研究者は、工業的手法と、幹細胞を用いて腎臓を作り出すような生物学的手法の両面で解決策を見つけようとしています。私たちは、こうした挑戦の一助になりたいと思っています。

 

Kidney type filtration test-kit

あなた方は、社会共通の課題へ利益を投資しようとする新しいモデルの企業であるFILTOMにも取り組んでいます。この取り組みは成功モデルになりえると思いますか?また、なぜ、科学の革新が人類にとってそれほどまでに重要だと考えるのですか?

 

O.T: 出資者によってコントロールされている民間企業が、社会の需要を支えています。また、多くの場合、主要株主がもっとも大きな影響力を持ちます。もちろん私たちのFILTOMはあまりにも小さな企業ですが、一民間企業としての開発の方向性を決める力は十分に持つことができました。科学の革新は、正しい方向性の維持こそが最も重要なのです。大学は基礎技術によって、その科学の革新の方向性を維持しています。問題は、民間企業が、その大学からの基礎技術を使用する際に生じるのです。

 

どのようにして独自のバイオテクノロジーへの道筋を切り開いていきますか?

 

O.T: 膜素材については、PD膜分離のために特別に設計された再生セルロース膜の基礎的な製造プロセスの開発をほぼ終えています。しかし、腎臓のシステムを達成するには、その膜へさらにもう一つ機能を付け加える必要があります。「水チャンネル」や「イオンチャンネル」と呼ばれる、汚染水からイオン交換したり、浄水を取り戻す機能の開発が重要な開発課題です。PD膜分離のための特殊な装置は、流速、圧力、ろ過速度を調節するための複雑な構造が必要ですが、これが、他の膜分離技術では不可能だったプラセンタエキスを浄化する私達独自のノウハウです。

 

Close up of a texture experiment by Filtom

FILTOMでは、化粧品においても新たな戦略をお持ちのようです。産業化時代における社会政策は常に、最悪のシナリオを基盤としてきました。石鹸も、洗浄剤も、できるだけ多くの防腐剤で、できるだけ速く生産する、という風に。そうした政策では、皮膚の個人差、多様な組成や、多くの少数派は考慮されません…
FILTOMは、製品の成分組成において、こうした多様性を考慮することができそうですか?もしできるのであれば、どうすればできるのでしょうか?

 

O.T: 私たちがもっとも答えたい質問です。多くの化粧品会社は、多くの事情によって、安価に手に入りやすい化学物質や植物性材料を使用しています。アレルギーリスクを避けるには、配合材料の数を減らさなければなりませんし、特に刺激の強い植物性エキスについては特にそれが言えます。

防腐剤の問題については、生鮮食品のように、できるだけ新鮮な素材を使い、できるだけ少ない防腐剤と、短時間の製造プロセスで製造することが、スキンケア製品のためには重要です。FILTOMでは、きわめて少ない数の新鮮な生鮮材料を使っています。通常、多くの日本製化粧品は3年以上の在庫期間を設定していますが、FILTOMの商品は少ない防腐剤のため、6か月の在庫期間です。こうしたスキンケアの考え方は、まるで、農業における土壌菌の多様性維持に似ているようだと感じています。

そのため私たちは、石鹸の開発においても、肌の常在菌にもっとも親しみやすい石鹸を選びました。それはつまり、固形純石鹸になるのですが、それをいつも新鮮な状態で使えるように、新たにジェル状の純石鹸を開発しました。

 

Portrait of Mr.Takeshita

水洗トイレについてはどのように考えますか?

 

O.T: 水洗トイレの水の消費量を抑えるために、多くの手法を開発することがとても重要だと思います。大型の上水センターから、大量の飲料水を送らずにすむように、各家庭において飲料水と非飲料水に分けるシステムが必要です。

 

最後に、PD膜分離技術に戻りましょう… 世界の各地域に影響を与えている水不足問題を解決する挑戦的な試みですが、途上国の人々に提供できるほどに、経済的、技術的に完成するのには、どれくらいの期間がかかると思いますか?また、分散型施設に向いている技術だと思いますか?

 

O.T: 当社のウェブサイトで触れている通り、50年以上はかかると思います。ただし、現状の進捗スピードと開発員数の場合です。今後、私たちが、課題や成果を世界中で共有できれば、開発スピードは加速するでしょう。これが、FILTOMの設立理由です。私たちは、開発の加速のため、成果を公開します。

 

寄稿:Emma Panini
Mediamatic 2016年5月6日配信
和訳:Tetsuro Oike
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“【Mediamatic記事】Architecture of Crisis(危機の構造)和訳” への3件のフィードバック

  1. kyonlee より:

    朝から壮大な記事を拝読し、雨上りで潤っている木々の緑と透けるような青い空、黒い大地、普通の景色がとても新鮮に映ります。
    この記事は 青い地球上に存在している我々が与えられた恵みを享受していることにメスを入れるだけじゃなく、与えられたものを大切に活かしていくことに真剣に取り組んでいらっしゃる御社の存在は化粧品業界や水利に携わる方々にも よい意味で影響を与えていく予感がします。
    あまり難しいことはわかりませんが、人間の持つ腎臓システムが なんと素晴らしいか!ということをあらためて知りました。
    この自然界もヒトも、ほとんどが水によって構成されている。。。
    なのに、どうでしょう?
    その水を当たり前のように ほしいまま使い、驚くべき水量をトイレで流している。
    方や飲料水すらままならない地域が多くあるというのに!!
    まずは感謝することからスタートします。

    • tetsurooike より:

      kyonlee様 大変うれしいコメント、こちらこそ感謝いたします!すでに多くの有名無名な方々が共有しているこの方向性に、私たちもまずは参加したいという気持ちで取り組んでおります。幸い、裕福な国に生まれ、これまで途上国の安い食品に支えられてきた「水不足国家、日本」。しかも、日本だけでなく、地球上のほとんどの方々にとって切迫した水問題。これを解決しようとするチャレンジに参加できることは、大きな喜びです。ぜひこれからも、多くの方々とシェアしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします!FILTOM、尾池

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